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HIVにかかる医療費ってどのくらいなのか

2019年10月17日

HIVの治療方法は血液・尿検査と投薬で、毎月病院で受診して30日分の薬を処方してもらいます。抗ウイルス薬を服用しながらHIVの発症を抑えるための治療を受ける場合の費用(診察料・検査費用・薬代の実費)ですが、1か月あたり約24万円です。特に薬代が高価で、1日分で7千円もします。10年間にわたり治療を続ける場合には、トータルで2,880万円もの費用がかかってしまうことになります。

現状ではHIVを完治させることは不可能なので、一度治療を開始したら何十年間にわたり薬を飲み続ける必要があります。もしも20代でウイルスに感染していることが判明して30歳で治療を開始して70歳まで治療を続けるための医療費は、1億円を超えてしまいます。将来に薬代が値下がりする可能性がありますが、HIV以外の感染症や病気で治療を受けると更に高額の医療費がかかることになります。1億円もの医療費を負担することができるような人は、かなり限られています。

日本には健康保険制度があり、保険が適応される治療であれば3割負担で済みます。HIVについても感染経路に関係なく健康保険が適用されるので、医療費の大半を保険でカバーすることができます。単純に3割負担だと1年で86万4千円で、実際の費用(288万円)と比較するとかなり負担が軽くなります。何十年も治療を続けることを考えると、これでもかなり高額です。

健康保険には高額療養費制度が設けられていて、自己負担額の上限額が定められています。上限額は所得に応じて4段階に分かれていますが、加入者の年収が370万円以下であれば毎月57,600円の負担で済みます。年額だと691,200円となり、3割負担の金額よりも軽減されます。それでも20年間にわたり治療を受け続ける場合の総費用は約1,382万4千円となり、これもかなりの負担です。

HIVの治療を受ける場合は高額療養費制度に加えて、身体障害者向けの自立支援医療(更生医療)制度を活用することができます。身体障害認定を受けてから申請をすると、所得に応じて毎月の自己負担額が2,500円~20,000円まで軽減されます。これに加えて自治体の福祉医療費助成制度を利用すれば、毎月の自己負担額が数百円~数千円程度になります。

HIV治療を受け続ける場合、健康保険の高額療養費制度だけでは負担額がかなり高額になってしまいます。このため、身体障害者の認定を受けてから支援制度を活用する必要があります。HIV治療で薬の服用を開始する人の多くは、あらかじめ身体障害者手帳を申請したり自立支援医療・福祉医療費助成制度の手続きを済ませています。

身体障害者の認定や地域ごとの福祉医療費助成制度の申請方法は、病院の医療スタッフや各自自体の市役所・区役所で相談をすることができます。大きな病院であれば、国や自治体の制度についての相談ができる医療スタッフ(ソーシャルワーカー)が在籍しています。